前書)- 橘玲氏の著書の中で、いや、僕がこれまで読んだすべての著書の中で最も衝撃的と感じた1冊だったかもしれない -
3編連続『橘 玲(たちばな あきら)』 氏の著書紹介。本日は最終日『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』です。
自己啓発本によくある『「やればできる」「人は変われる」は果たして本当なのか!?』という問いかけに始まり、『この残酷な世界で幸せに生きるには!?』という結論に達する興味深い内容です。僕が当ブログを始める決定打となった書籍です。
書評タイトル:絶望感の中に一筋の光が見出せる1冊
著書:残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
著者:橘 玲
出版:幻冬舎
※本投稿のサブタイトルは同書からの引用となります。
著書の内容について
下記(仮説)を1つずつ、様々な学問の研究結果や見地に基づき、あくまで客観的に検証、追求していくという内容です。
1)自己啓発本によくある「やればできる」は本当なのか!?
↓
2)「自分が変われば世界が変わる」と多くの啓発本は言うけれど、果たして自分は変えられるのか!?
↓
3)最近流行りの「好きなことを仕事にする」は可能か!?
↓
4)もし上記1)、2)、3)が本質的に「できない」のであれば、この世界は我々にとって残酷なものでしかないのか。
↓
5)それでは人は何のために生きているのか。幸せに生きる方法はないのか。
↓
6)結論
やってもできない
1つめの結論が「やってもできない」です。僕は自己啓発本も好きで良く読むのですが、それらのほとんどが、著者の「私はこれで成功した!」「成功は努力の結果だ。努力ならあなたにもできるはずだ!」といったものです。※あのホリエモンでさえ、(本音かどうかはともかくとして)努力の重要性を説いています。
しかし本書は「やればできる」を完全否定しています。
やってもできない
僕は、まずここで一回へこみましたw。
誤解しないでいただきたいのは、本書は前述の通り、決して安っぽい現実主義者の主観的見解を述べているわけでは無いというところです。ましてや「自分にムリだったのだから、あなたたちでは到底ムリ!」というトンデモな内容でもありません(笑)。
※仮説の検証、論拠の出処として、遺伝学・哲学・心理学・発達心理学・行動遺伝学・経済学等が使われていました。
わたしは変われない
本著では、自己啓発で世界的に有名な著書『思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)』『道は開ける/人を動かす(デール・カーネギー)』などについても言及されています。
「世界を変えるには、相手か、私が変わらなければならない。それならば、コントロール不能な相手を変えようとするより、『わたし』が変われば、相手も変わる。相手が変われば世界が変わる(上記有名啓発本、内容要約)」
ですが本書では「そもそも、” わたし ” は変えられるの!?」という部分に疑問を投じています。そして、もちろんこの疑問についても研究や史実を資料にいくつかの検証を行っています。
その上での本書の結論は・・・
わたしは変われない
ここで2回目のショックを!
好きなことを仕事にできるのは、才能に恵まれた人間だけ
ここまでくると、おおよその予想はしていましたが、このテーマについても「不可能ではないが、それだけで充分な収入が得られるのは、一部の才能に恵まれた人のみ」と結論づけられています。※海外のロックミュージシャンが給食配膳のアルバイトをしながらミュージシャンを続けている話は面白かった(印象的)です。
この世は生まれ持っての才能を持ち合わせた人間以外は報われないのか
著者も初めは、この「不道徳」な考えに反発したそうです。
『努力しても能力の増幅は限定的』
『人は、そう簡単には変われない』
『好きなことでは満足な収入は得られない』
「やってもムダ」なのであれば、この世は天賦の才を持ち合わせた人以外にとっては闇ということなのでしょうか。
著者が言いたかったこととは、「無駄な努力はやめて、一切の期待を放棄しましょう」ということなのでしょうか。
もちろんそうではありません。中盤から後半にかけて、『この残酷な世界を生き延びる方法』が説かれていくのです。
この残酷な世界で幸せに生きる方法はあるのか!?
あります。
これ以上はネタばらしになるため、言及しませんが、最後に1筋の光明が照らされています。それこそが・・・
この残酷な世界で生き延びるたった一つの方法
なのです。
最後となりましたが、本著、研究結果や学術的見解が資料として使われているため、「小難しい本なのかな?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に様々な例(※)を使用し、一般人の僕にもすごくわかりやすく解説されているため、わかりやすく興味が尽きない内容となっています。
※『(映画)20世紀少年』『フロイト』『木更津キャッツアイ』『キムタク』『ケヴィン・ベーコン』『ヤクザ社会』『マルチ商法』『カルト教団』『チンパンジーの生態』『香山リカ』『勝間和代』『催眠術』等々、身近なところや有名どころまで、結論の裏付けにや例えに使用されているため、とてもわかりやすく興味深いと思いました。※上記順不同・敬称略