著書:沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉
著者:堤未果
出版:集英社新書
書評タイトル:一億総必読書では!? ~ぜひ読んでほしい1冊~
ドキュメンタリータッチやインタビュー形式で、著者の見解が書かれている良書です。※下記内容例
『アメリカの医療保険制度の現状』
『日本の医療保険制度(国民皆保険制度)の素晴らしさ』
『現在の日本の医療現場の真実(過酷さ)』
『日米政府の思惑や資本主義社会(拝金主義)の問題点』
『今後我々がそれらとどう向き合っていかなければならならいか』
そして・・・
『日本人の持つ共同体(協同の)精神の大切さ』
僕も初めはTPPで危険視されている『国民皆保険制度の崩壊』や『アメリカ式保険制度』のことを詳しく知りたくて読み始めました。もちろんその部分についても詳細の説明がされていましたが、途中で「著者が本書で本当に伝えたかったことは別にあるのではないか」と感じ始めます。下記引用文をご覧ください。
「無知は弱さになる。持っている人がその価値をわかっていないものほど、奪うのは簡単ですからね」
「普通の人々の無関心こそが、放っておけば国を亡ぼしてしまうのです。」
「賢い患者が医療を救う」「小さく動いて大きく勝つ」
そして
「誰もがこの世に生を受け、ほんの少しの間同じ時代を生きて、そして死んでゆく。その普遍的な営みを、貴び、お互いさまの心で助け合ってゆく。それははるか昔から、私たち日本人のDNAに刻まれてきた、〈共同〉の精神だろう。」
-上記「 」内 グレー文字部分、同書より引用-
熱いものを感じました。全ての『無関心な国民』に警鐘をならす1冊といえます。僕の言葉で勝手に代弁させていただくとすると・・・
「みんなもっと色々なことに関心をもとうよ!政治にも、医療にも、隣人にも、教育にも・・・。そして関心をもったことについて、もっと学んでいこう!無知だと搾取されるばかりだから。」
「そして拝金主義、自己中心主義に侵されず、共同体(助け合いの)精神を取り戻そう!小さなことからでも行動を起こそう!それがいつか大きな勝利に結びつくかもしれないのだから。」
といったところでしょうか。医療制度やTPPのことに限らず、『人間の本来あるべき姿』的なことを思い出させてもらえる、本当に出来るだけ多くの人に読んでいただきたい一冊です。
著者(堤 未果さん)について
僕が著者のことを初めて知ったのはテレビ朝日『正義のミカタ』でのこと。当ブログの前記事でも詳しく説明させていただきましたが、TPPに警鐘をならすジャーナリストさんです。国民皆保険制度や食の安全がTPPによって危機にさらされることになるという話を、同番組内でされていました。
その際、「東京の番組ではこのような(政策に反対するようなこと)はしゃべらせてもらえない」「政府はTPPの影の部分(デメリット的なところ)を隠している」というような内容のことを話されており、「テレビでこんなこと言って大丈夫なんやろうか !?」とすごく興味が沸きました。
速攻で堤氏のTwitterをフォローし、ホームページもお気に入りに登録しました。その際、本書の存在知ることになります。僕のTPPに対する疑問もMaxに達しており「国民皆保険制度が崩壊し、アメリカ式医療制度が日本を蝕むというが、そもそもアメリカの人達はそれで生活しているんでしょ?」というあたりの事実関係が知りたくなり、Amazonで購入しました。
Twitterでのつぶやき、TV番組内での発言、そして同書の内容。そのすべてから意志と使命感の強さが感じられます。このような政治的な発言は社会的な危険を伴います。それにも屈しない芯の強さのようなものを身にまとった女性です。
同著書の特徴 (レーダーチャート)
※【読了日時:2015年12月】 読了時点での「僕にとっての」という視点でポイント分けさせていただいたものです。
- 被啓発度:5
「無知ではだめだ」「小さなことからでも行動をおこさなければ」と啓発されます。 - 読みやすさ:3
医療・政治・法律等、正式名や専門用語を要するため「サクサク読める」とはいかないのは、いたし方ありません。 - 感動・感激・感銘:5
実話に基づき話が展開します。医療現場の声、地方自治体の取り組み、著者のお父さんの話等感動しました。 - 役に立つ:4
医療現場の真実・日米保険制度について・反対する政策にどう立ち向かえばよいか、などが学べます。 - 興味が沸く・面白い:5
僕にとって極めて関心の高いテーマでした。
次回予告:TPPに対する僕の見解まとめ
著名人(ホリエモンや永江一石氏)にTPPについて問い合わせをしていましたが、その回答が届いています。それらの紹介と共に、賛成派・反対派などの意見も取り入れたうえでの、僕の意見をまとめたいと思います。